その1・古紙問題


需要と供給のアンバランスさが目立つ古紙問題

取り上げた記事:
1. 4月29日 読売:古雑誌回収やめて/6月から3ヶ月間
2. 5月10日 読売:古紙利用拡大へ 都「緊急プラン」

記事の概要:

関東地方の古紙卸売業者で組織する「関東製紙原料直納商工組合」は4月28日までに、一都六県の全市区町村に対し、6月から3ヶ月間、古雑誌についてはリサイクル用の回収に出さず、家庭で備蓄するよう求める要請を行う方針を決めた。
古紙の再利用を巡っては、リサイクルの”出口”となるはずの再生紙の需要が落ち込んで引き取り価格が下落し、東京都内だけで古紙在庫は3月末で約12万トンに達しており、特に古雑誌については、引き取りを拒否する卸売業者もいる。これを受けて東京・墨田区では4月21日から古雑誌の回収が一時ストップする事態となっている。今回発表された同組合の方針で、今後回収のストップの動きはさらに広がるものと考えられる。
28日の発表を受けて、東京都は5月9日「古紙利用拡大緊急プラン」を策定し、古紙需要の拡大に向けて本格的に取り組むことになった。プランによると、事業者に対しては「コピー用紙」を古紙利用商品の最重点品目とし、約76万の全事業者に対し、「古紙利用配合率70%・白色度70%」の用紙利用を訴える。又百貨店には包装紙、コンピューター会社には電算出力用紙、病院にはカルテ用紙といった具合に業種別に重点品目を設定し、同様の利用促進を図る。一方、都民には古紙配合率100%のトイレットペーパーやティッシュペーパーを使うように働きかける。都庁内についても、都が使う年間1600トンのコピー用紙や印刷物に再生紙を限定したり、リサイクル推進のための検討会を新たに設置したりするなどの取り組みが盛り込まれている。

考察:

リサイクルの業界で今のところ最も成功しているはずの古紙利用が、意外に進んでいない。成功したリサイクルとは言うものの、そのスタイル・構造が確立されたとは未だ言えないだろう。まだそのシステムが確立されていないから古紙の在庫にこれほどの問題が発生してしまう。リサイクルという制度が日本ではまだ確立されていないということがこれらの記事からも読みとれる。
記事1の「関東製紙原料直納商工組合」は、『雑誌の回収を抑えることで需給バランスが元に戻ることを期待している。要請は強制ではないので、判断は各自治体にまかせたい』
としているが、いくら雑誌の回収を抑えて需給バランスが戻ったとしても、リサイクルのシステムが確立していないのだから、またいつか同じ様な問題が発生するであろう。まずは、各自治体と回収業者が問題の発生しないようなシステムを構成するべきである。
4月28日の要請を受けた東京都では、すぐに「古紙利用拡大緊急プラン」という取り組みをしたが、これは今までのリサイクル業界、特に古紙利用業界に新たな変化をもたらすだろう。このプランでは各業種ごとに古紙利用商品の利用重点品目を設定しており、これにより今までに比べ各業種での古紙利用商品の使用率はかなり上昇するはずである。またこのプランを設定した東京都庁内でも、コピー用紙や印刷物に再生紙を限定使用するなど、今までこういったプランにはあまり縁の無いように国民に思われていた自治体内でもかなりの力を入れている。こういったプランにより、3月末ですでに在庫12万トンに達してる古紙の在庫が少しずつでも改善され、また古紙利用リサイクルだけに限らない全てのリサイクルシステムに新たな影響を及ぼすような成功になってくれることを願う。

参考記事:特になし。






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